本当に、中国関連の情報が多いですが。。。
薬の安全学再び:世界中の薬屋さんが中国無しに生きていけないって知ってた?
2008.2.21 23:14
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n4.htm
■ウォールストリート・ジャーナルで、中国産原料を使って製造した米バクスター・インターナショナル社の
血液抗凝固剤(ヘパリンナトリウム)の使用で、患者350人以上に重篤な副作用がでて、4人が死亡した、
という報道があった。中国産原料との因果関係のあるなしは不明で、まだなんともいえない。
が、19日、中国外務省の劉建超報道官は初めて、この件について言及し、「米国側から通報をうけ、目下調査中」
と説明した。「FDA(米食品薬品局)とは、ずっと良好な協力関係にあり、具体的的協力方法などは、
(カウンターパートの)国家品質監督管理検疫検査総局に直接聞いてほしい」とコメントした。
■昨年はパナマ咳止めシロップ中毒事件が発覚し、これはパナマ側にも罪が大きいということはすでに
報道済みだが、また中国産医薬原料が問題なのか?という予断はどうしてもでてくる。
でもね、人は予断によって自分の行動を決め、事態の悪化を防ごうとするから、あれこれ予想、推測することは
大切なんだよ。
■この件自体は、ワシントン発の記事をまとう。だが、ちょっとこの個別の件を離れて、中国医薬・医薬原料産業の問題と、
それに頼る世界の製薬企業について、今回のエントリーで紹介したい。
■ペニシリン、ヘパリン、テトラサイクリン…
全部頼っています。
食と薬の原産国として、世界中の人々の健康は中国の手にゆだねられている?!
■ ヘパリン、とは血を固まりにくくする薬。血栓症の治療とか、手術中、手術後、血を固まらないようにするために
使用する。これは豚の腸の抽出化合物が薬効成分なんだそうだ。世界の豚の半分を飼育している中国はこの
ヘパリン原料の主要輸出国でもあるそうだ。昨年上半期、中国ではこのヘパリンナトリウムを49トン(前年同期比
19・22%減)輸出した。金額にすると、5758万ドル(13・36%増)。輸出量が減って、値段があがったのは、
昨年の中国の豚の感染症流行が原因かな?輸出先はドイツ、米国、フランス、イタリア、オーストリアで8割以上
を占める。中国の医薬品(漢方薬をのぞく)は国際社会でいまひとつ信用ないので、先進国の製薬会社に輸出して、
先進国の大手製薬会社で完成されて、そのブランド名で売られるわけだ。でもその実、メードインチャイナなんだよ。
■もうひとつ例をあげるとペニシリン。中国はペニシリン工業塩という医薬原料の年間生産能力が2007年で7万トンある。
ちなみに世界の年間需要は5万トン前後だから、中国のそれは、世界需要を遙かにうわまわる。つまり世界中で
今使われているほとんどのペニシリンは中国製。以前は、ペニシリン工業塩をインドで二次加工していたが、最近は
すべての工程を中国で行うようにかわってきている。
■このほか、メタミゾール(鎮痛剤)、カフェイン、水溶性繊維とか、塩酸テトラサイクリン(抗生物質)といった医薬の
原料は、輸出量、輸出価格に変動はあるけれど、中国が主要輸出国のひとつとなっている。中国の医薬・保健関連
輸出は近年成長しており、2007年の貿易総額は386億ドル、うち対外輸出は245・9億ドル(前年比25%増)。
中国はすでに世界最大の医薬原料・原薬輸出国なのだそうだ。日本で使われているお薬も、原料、原薬の部分で
中国産が少なくないのでは?
■なぜ、そうなるか、というと製薬市場の生存競争は激烈で、値段が大暴落しているペニシリンや、薄利多売の
メタミゾール、テトラサイクリンなどは、中国以外でつくってちゃ採算があわない。しかし、この薄利多売競争
低コスト化が、今中国国内でも多発しているニセ薬や劣化薬、生産過程管理ミスによる不良薬による薬害問題の
背景でもある。
■昨年夏ごろから、中国国内ではけっこう大問題になった上海医薬集団華聯製薬工場の白血病治療薬薬害事件
の背景も、医薬品製造低コスト化が背景だったことが明らかになっている。69年の歴史ある国有企業の工場で、
汚染物質が混入した薬がつくられ、最小5歳の子供を含む少なくとも193人が身体マヒなどの後遺症に苦しむ結果
となったというこの強烈な事件は、中国国内では実にありがちな事件、ということで、発覚当時には、日本メディアは
あまり関心を払わなかった。
■けれど今年になって、その背景がわかってきた。世界の工場、中国における本質的な問題が、すべてそろって
いるような気がするので、南方週末(1月23日)の内幕記事を引用しながら、紹介しよう。事件を起こした薬は
メソトレキセート、シタラビンといい、白血病治療につかわれる抗がん剤で、華聯工場はこの薬を数十年作り続けてきた
実績があった。なのに、なぜ、今回、こんな事件がおきたのか。
■(引用開始)抗がん剤の利潤はミネラルウォーター一本よりも安い。生産コストを抑えるために、規約違反、
混乱が生産現場に生じている。上海医薬集団の製薬工場で長く働いている従業員はいう、「こんな事件は
いつおこっても不思議ではない。起こらない方が不思議だ」。
■ 厳甄?ちゃん(7つ)は、もはや二度と歩けないからだになってしまった。華聯のメソトレキセートの脊髄注射治療を
受けたからだ。当初、これは薬自体が本来もつ副作用と思われていた。しかし、同様の薬の治療を受けた少なくとも
193人の患者が、大小便失禁、身体マヒなどの症状をつぎつぎと訴え、その後の調査で、薬の中に不純物が混入
していることが発覚。昨年末までに、工場は生産停止となり、多数の企業側責任者が拘留され、もっか、当局は
「組織的隠蔽があったのではないか」と捜査中だ。
■この薬は一回分、わずか1・9元。抗がん剤としては古典的な薬で、効果は確実だが、副作用が大きいことでも知られ、
かつて一度生産停止となったこともあった。しかし、市場の要求におされ、生産が再開始され今や、中国における白血病
治療は必ずこの薬を使うといっていい。華聯は、中国におけるこの薬の主要生産拠点だった。
■厳ちゃんのような重篤な副作用がつぎつぎと発覚して、国家食品医薬監督管理局は昨年7月7日、同企業の薬の
使用一時禁止を通知した。その後、上海に3度おもむき、調査を開始。しかし、ちょうど、華聯側の責任者は人事異動
したばかりで、誰にきいても「原因はわからない」というばかり。また上海医薬集団は独自検査をおこない、
「品質に異常はない」と何度も発表、消費者に安心するよう呼びかけた。上海医薬監督管理局は、8月2日、被害を
起こした製造日のメソトレキセート以外の同企業の抗がん剤を医療現場で使うことを許可してしまった。
このことがさらに被害者を増やすことになる。
■一方、独自調査を行ってきた国家食品医薬監督管理局(北京)は、制がん剤シタラビンも問題ありとの調査結果を
8月当時すでに出していた。不幸なことにその8月、シタラビンを投与された患者がやはり身体マヒの症状を訴えた。
この患者の父親は、「なぜ真実をもっと早く発表してくれなかった」と怒りを隠せない。
■9月に、衛生省と国家食品医薬監督管理局はやっと、調査結果を発表。問題をおこした薬2種、メソトレキセートと
シタラビンの中に、別の急性リンパ性白血病治療薬・ビンクリスチンが混入していたことが、重篤副作用を引き起こした
原因ということだった。
■ さらに、衛生省らは12月、華聯側に製造過程で重大な規約違反があったことを隠蔽していた疑いがあり、
上海公安当局が目下調査中、と発表した。調査結果によれば、華聯側には5項目の工場規則違反行為があった。
そのうち、もっとも深刻・悪質な違反は、工場で使いの残しの材料を完全廃棄しなかった上、薬の瓶詰め担当が
貯蔵庫に放置されていた空瓶を集めて再利用していた、という点だった。
■さらに、問題なのは、中国の製薬現場では、一般に、完成品検査のときに、薬品濃度の合格不合格は検査するが、
不純物混入を対象とした検査がされていない、ということだった。つまり、薬を特定してそれを対象しなことには、
検査ができない、というわけだ。今回のメソトレキセート調査も2ヶ月たってやっと原因が判明したのは、専門家たちが
この問題で討論したとき、一人が副作用の症状がビンクリスチンのものと似ている、という指摘をして、ビンクリスチンを
対象に検査してみたところ、それが検出されたからだった。
■結局、瓶詰め担当が、空き瓶に残っていたビンクリスチンをしっかり洗浄できなかったため、メソトレキセートなどに
ビンクリスチンが混入。それが200人近い患者に身体マヒという重篤な後遺症をもたらしたわけだ。上海医薬監督管理局は、
この2種類の違法製造薬に関する華聯の収益8万元あまりを没収、116万元の罰金をかした。
■被害患者への賠償金問題には難しい問題がある。病院側は、この薬を使うとき、一部患者に対して、副作用、
合併症などのトラブル発生時を想定して、「医療鑑定、司法鑑定請求の権利放棄」および「一時的に患者と病院の
間に紛糾があっても、双方追及しない」という同意書にサインさせ、これに違反すると20万元の違約金支払いを
患者に科していたからだ。
■ メソトレキセートは市場需要の高い薬だが、じつはほとんど利潤が見込めない安い薬でもある。ワンパック5mm
グラムの販売価格は6.02元。一般の製薬企業はどこも製造したがらない。上海医薬集団は国有企業として国家命令で、
この薬を製造せざるをえなかった。生産コストを抑さえるため、工場作業員の給料も安く抑えねばならかった。
華聯の一般工場従業員の給料は1500~2000元を維持しているというが、副作用の大きな抗がん剤の生産現場には
しわ寄せがいっていた。
■上海医薬集団のある行政官はこう語る。「衛生省関係者がいうには、国有企業で、なぜ、こういう事件がおきたか。
それは、(医薬製造が)割に合わないからだ。点滴液一本分の利潤はミネラルウォーター1本も変えない程度だ。
(コスト低化のために)いくつもの薬を同じ生産ラインでつくっている。うっかり洗浄が甘ければ、つまり汚染の可能性が
あるということだ」
■おこるべくしておきた、薬害事件。しかし、こういった事件がおこりうる背景は、製薬分野にかぎらないだろう。
食品、玩具、衣料、あらゆるメードインチャイナが似たような問題をかかえ、すべての中国メーカーがそうだ、
とはいわないが、少なからぬ企業が、いつ健康被害事件などを引き起こしてもおかしくない要因を内包する。
しかも、それが消費者の信頼がよせられている国有企業ブランドだったり、当局のお墨付きだったり、HACCAP認証を
取得していたりする場合もないとはいえないわけだ。
■この引用記事から読み取れる問題点を整理すると、
(1)低コストを追及するあまり、必要なモラル・責任感が失われ、マニュアル、規則違反がおこりやすい労働環境。
(2)問題が起きたときの対応の遅さ。原因究明の調査能力の低さ。
(3)(2)の背景としての、中央、地方、企業の連携のなさ。
(4)企業(ときに地方政府も)の隠蔽体質
(5)社会主義市場経済という特殊な市場経済の事情。国家の価格統制などの介入や、市場原理による低レベル企業
淘汰機能の欠如など。
(6)消費者への保障システムの不備。
■ 中国は、対外輸出用産品の安全、国内用産品とは違って、パーフェクトな管理で細心の注意を払っている、
だから大丈夫だ、と言い続けているが、国内でこのような事件が相変わらずおきていると、説得力がない。
というより、私の個人的意見としては、ふつう国家とはまず、自国民を守ることを最優先するもんだよ、といいたい。
食品・医薬安全に関して、中国当局の説明を聞けば聞くほど、自国民の安全より対外輸出用製品の安全を優先している、
と聞こえるし、それは、すなわち経済利益のために自国民を軽んじている、というふうに思える。
つまり国家そのものが拝金主義的性格。
■へんなたとえだが、自分の家族を大事にできない男が、外でいくら有能で金を稼ぎまくっても、誠実ぶってオレを
信用してほしい、とかいっても、所詮こいつは、人を人とも思わない自己中男だな、あたしを利用したいだけだな、
と思うだろう?ふつう。
■ しかし、世界は製造コストが安い、という理由で、そういう中国の製造業に、日常生活で必要なあらゆるものを
頼っている。とりわけ人々の健康の源となる食品、医薬品の製造を、拝金主義の自己中の国の手にゆだねているわけだ。
やっぱり、冷静に考えると、これでいいのか、と思うよね、ふつう。
■ じゃあどうするか、というと、悩ましいのだが、そういう中国に頼るのをやめる、あるいは、利用されても傷つけられてもいい、
中国様に黙ってついていくわ、と思い切れないなら、やはり中国に多少変わっていただく働きかけ、というのも必要だろうと思う。
たとえば、中国が自国民を大事にする、信用にたる国に変わってもらうには?それは多少なりとも、監督システムや司法の
独立による法治、メディア機能の変革や、市場経済による健全な企業淘汰など、政治制度とかかわる改革が必要で、
あんまりいいすぎると、また内政干渉とかいわれるかもしれない。が、実は中国製医薬品や中国産食品の安全は、
そういう国の体制にも要因がある、けっこう奥の深い問題だと、最近思う。日中友好というかけ声だけや、相手を刺激しない
事なかれ主義では、解決しないのだよ、たぶん。