2008年02月 アーカイブ

2008年02月10日

リビング・ウイルに関して

日本でも、終末期医療に関する論争が起こっています。

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 厚生労働省は、75歳以上で「終末期」の患者が医師らと相談し、延命治療の有無などの
希望を文書などで示す「リビング・ウイル(生前の意思表示)」を作成すると、病院などに
診療報酬が支払われる制度を導入する方針を決め、08年度診療報酬改定案に盛り込んだ。
患者本人の希望に沿った終末期医療を実現するのが目的という。専門家らからは、
意思表示や治療中止の強制につながるなど、批判の声が上がっている。

 制度は、75歳以上の患者が、治癒の見込めない終末期と診断された場合が対象になる。
医師や歯科医師、看護師などが病状や予後などを説明。患者と医療者双方が終末期と
納得した上で、▽生活支援のあり方▽急変時に延命治療を希望するか▽急変時に搬送して
ほしい医療機関--などを決め、文書や映像などで記録する。

 診療報酬点数は示されていないが、13日の中央社会保険医療協議会で決まる見通し。
話し合っても方針が決まらなければ算定の対象にならない。

 意思決定の方法は厚労省の終末期医療の指針などを参考にする。だが、指針は複数の
医療従事者で判断することなどを示すだけで、「余命何カ月」など終末期の具体的な定義は
示していない。

 日本尊厳死協会の荒川迪生副理事長は「終末期に関しては法的、制度的にも議論が
不十分で時期尚早だ。作成が強制される雰囲気になっても困る。延命治療の定義が明確で
ないため、文書があっても急変時に医療者側が混乱するか、ただの紙切れに終わる恐れも
ある」と指摘する。

 厚労省の指針作成に参加した川島孝一郎・仙台往診クリニック院長は「今の医師は


病状説明だけで、その後の生活の話し合いをほとんどしないため、患者は情報不足のまま
決定せざるを得ない。意思は変わる可能性があるのに、一度の説明で文書化したものが
治療中止の金科玉条として使われる危険もある」と批判する。【大場あい】

 ◇リビング・ウイル

 死期が迫ったときの治療方針などについて、事前に本人の意思を書面で示したもの。
日本尊厳死協会は「尊厳死の宣言書」と訳し、「いたずらに死を引き延ばすための延命措置」
などを拒否する独自の書面を作成している。03年の厚生労働省の意識調査では、
リビング・ウイルの考え方に賛成する人は一般国民の約6割。同協会によると、
米国では約3割の人が所持しているという。


▽News Source 毎日jp 毎日新聞 2008年2月10日2時30分
http://mainichi.jp/select/science/news/20080210k0000m040094000c.html

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投稿日時: 2008年02月10日 14:02 | | コメント (0) | トラックバック (0)

勤務医の負担軽減策

慎重に、かつ、社会のためになる改正を求めます。

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平成20年度の診療報酬改定は、今月中旬から、
中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)で具体的な報酬額の議論に入る。

診療報酬全体では引き下げられたとはいえ、医師の技術料にあたる本体部分は0・38%プラスになった。
本体引き上げの理由となったのが勤務医の負担軽減策。
そのカギとなる「開業医の初・再診料引き下げ」が焦点となる。
75歳以上の後期高齢者医療の報酬体系や、後発医薬品の普及などの新施策もあり、活発な議論が行われそうだ。

■勤務医の負担軽減
開業医の初・再診料引き下げ案は、医師不足の大きな原因となっている勤務医の待遇改善策の議論の中で浮上した。
厚労省は、夜間の救急患者が大病院に殺到し、勤務医に激務を強いている現状を踏まえ、
開業医の夜間報酬を手厚くし、救急医療を分担してもらう方針を打ち出した。

現在救急指定のない開業医は、午後6時以降開業しても通常の診察料だが、
来年度からは、救急指定がなくても午後6時過ぎには、一定の時間外加算を適用する内容だ。
その場合、値上げ分は患者の窓口負担に跳ね返る。
そこで厚労省が考え出したのが、開業医の初診料および2回目以降の再診料を引き下げる案だった。

これが実現すると夜間診療を受け付けない開業医の報酬は下がることになる。
このため、日本医師会などが強硬に反対、厚労省もいったんは「夜間加算と初・再診料は切り離す」と後退させた。
ところが、診療報酬の本体部分引き上げに伴い、結果的に健康保険組合がその財源を肩代わりする格好になった。
このため、「勤務医対策のための報酬引き上げならば、サラリーマンだけでなく、
高収入の開業医も痛みを分かち合うべきだ」との世論が広がった。

与党内からも「開業医の優遇となれば、世論の反発は避けられない」との声が出ている。
再浮上した初・再診料引き下げにどこまで踏み込めるか。今回改定の最大ポイントとなる。

後期高齢者
75歳以上の後期高齢者を対象に新たに整備される診療報酬体系も大きな論点になる。
初診時に患者の病歴や受診歴に加え、利用中の医療・介護サービスなどを詳細に聞き取るため初診料の窓口負担を増やし、
2回目以降の診療は経過観察や継続的な管理・指導が中心となるため、再診料を下げる方針が固まっている。

また、かかりつけの主治医を中心に在宅での治療が進められるよう、糖尿病や高血圧といった慢性疾患を抱える患者には、
主治医が年間診療計画を作成し、継続的に病状管理していく方針だ。
ただ、後期高齢者は大きな病気にかかりやすく、医療費が高額になるケースが想定される。
治療費の高騰を防ぐため、主治医の指導や検査、画像診断などを包括した定額払いを導入する考えだが、
主治医の定義や、定額払いの範囲などが議論される。

■後発薬の普及
医療費抑制の目玉として期待される後発医薬品の普及策も大きな課題だ。
現行では、医師が後発薬に変更してよいと判断したときに、処方箋(せん)の「変更可」の欄をチェックする。
この様式を、医師が変更を認めない場合にのみ署名するよう変える。後発薬使用を前提とする180度の方針転換となる。

後発薬は不安、という人のために「お試し期間」を設けることや、
在庫がない場合に薬剤師の判断で別の後発薬への変更も認めることも固まっている。
後発薬の普及には薬局の積極的な取り組みが不可欠だ。
薬局の後発薬調剤率が3割以上となった場合、調剤報酬が上乗せされるため、引き上げ幅などが焦点となる。

このほか、今回の診療報酬改定では、義務化される診療報酬明細書(レセプト)並みの
詳しい領収書発行の実費を患者から徴収することを認める。
また、脳卒中などの入院患者のリハビリテーションを対象に、病状の改善度合いで診療報酬に差を付ける
成果主義の導入も図られる。これらの具体的な額や基準の設定も中医協で協議される。

ソース
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/080105/wlf0801052140000-n1.htm

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投稿日時: 2008年02月10日 14:05 | | コメント (0) | トラックバック (0)

男性看護師の増加

男女にかかわらず、というのも暴論かもしれませんが、
医療現場の改善を求めます。
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看護職員の学校養成所に占める男子の入学比率が高まっている。2006(平成18)年に入学した
学生の男子比率を見ると、看護師養成の3年課程の場合、大学が10.2%、養成所が11.0%、
短大が6.7%。1997(平成9)年と比較すると、いずれも5ポイント前後増加している。
准看護師養成の高等学校衛生看護科・養成所では20.9%(06年)にも達しており、日本医師会
(日医)は「看護職員の男子へのさらなる窓口の開放が必要」としている。

日医の医療関係者対策委員会が今年1月に発表した報告書「看護職員の不足・偏在とその対策に
ついて」で明らかになった。

報告書によると、97年から06年にかけて看護師学校養成所に入学した学生の男子比率は、
3年課程の場合、大学が4.1%から10.2%と6.1ポイント増、養成所が3.6%から11.0%と
7.4ポイント増、短大は2.2%から6.7%と4.5ポイント増で、いずれも増加している。
また、2年課程の場合も、短大が1.7%から6.6%と4.9ポイント増となったほか、高等学校
看護専攻科・養成所は8.6%から15.2%と6.6ポイント増加していた。さらに、高等学校
衛生看護科・准看護師学校養成所の場合、10.3%から20.9%と倍増しており、男子学生の
入学比率が極めて高くなっていることが分かった。01年に始まった5年一貫教育も同年の
3.5%が05年には5.7%に増えていた。

こうした動向は、男性看護師の増加につながっている。06年12月末時点の看護師の就業者数は
全国で81万1、972人(平成18年保健・衛生行政業務報告)と、初めて80万人を突破。前回
(04年)調査に比べ、全体で5万1、751人(6.8%)増える中、男性は6、434人多くなり、
増減率にすると20.4%もの大幅な増加となっている。
男性看護師が増えている要因について、日本看護協会は「看護師が専門職として認知されたこと
と、大学に看護学部が相次いで開設されたことに伴い、男性にとって学びやすい環境が
整ったからではないか」と話している。

報告書を受けて日医は「(明らかになった)数字を見る限り、男子学生の看護職員に対する意欲は
かなり高い」と指摘したうえで、「窓口をさらに開放し、男性が看護職員を目指しやすくする
環境を整備することで、看護職員の充足対策とすべき」としている。

報告書では、看護職員確保のための具体策として、男子看護職員志望者の採用促進に加え、
通信教育制度の充実や看護職員復職希望者へのプログラムの設置、准看護師養成の充実等を強調。
准看護師養成に関して、日医は「一度社会に出た人々が新たな挑戦を行う機会を与える場と
なっている。限られた人的資源の中で、社会経験を有し看護職に意欲をもって望む人々に門戸を
開くことは社会的な意義も深い。准看護師は地元定着率が高いとも言われ、地域偏在を防ぐこと
にもなる」と指摘している。

ソース
http://news.cabrain.net/article.do?newsId=14120

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投稿日時: 2008年02月10日 14:07 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年02月23日

中国と医学

本当に、中国関連の情報が多いですが。。。

薬の安全学再び:世界中の薬屋さんが中国無しに生きていけないって知ってた?
2008.2.21 23:14
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n3.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080221/chn0802212317012-n4.htm

■ウォールストリート・ジャーナルで、中国産原料を使って製造した米バクスター・インターナショナル社の
血液抗凝固剤(ヘパリンナトリウム)の使用で、患者350人以上に重篤な副作用がでて、4人が死亡した、
という報道があった。中国産原料との因果関係のあるなしは不明で、まだなんともいえない。
が、19日、中国外務省の劉建超報道官は初めて、この件について言及し、「米国側から通報をうけ、目下調査中」
と説明した。「FDA(米食品薬品局)とは、ずっと良好な協力関係にあり、具体的的協力方法などは、
(カウンターパートの)国家品質監督管理検疫検査総局に直接聞いてほしい」とコメントした。

■昨年はパナマ咳止めシロップ中毒事件が発覚し、これはパナマ側にも罪が大きいということはすでに
報道済みだが、また中国産医薬原料が問題なのか?という予断はどうしてもでてくる。
でもね、人は予断によって自分の行動を決め、事態の悪化を防ごうとするから、あれこれ予想、推測することは
大切なんだよ。

■この件自体は、ワシントン発の記事をまとう。だが、ちょっとこの個別の件を離れて、中国医薬・医薬原料産業の問題と、
それに頼る世界の製薬企業について、今回のエントリーで紹介したい。

■ペニシリン、ヘパリン、テトラサイクリン…
全部頼っています。
食と薬の原産国として、世界中の人々の健康は中国の手にゆだねられている?!

■ ヘパリン、とは血を固まりにくくする薬。血栓症の治療とか、手術中、手術後、血を固まらないようにするために
使用する。これは豚の腸の抽出化合物が薬効成分なんだそうだ。世界の豚の半分を飼育している中国はこの
ヘパリン原料の主要輸出国でもあるそうだ。昨年上半期、中国ではこのヘパリンナトリウムを49トン(前年同期比
19・22%減)輸出した。金額にすると、5758万ドル(13・36%増)。輸出量が減って、値段があがったのは、
昨年の中国の豚の感染症流行が原因かな?輸出先はドイツ、米国、フランス、イタリア、オーストリアで8割以上
を占める。中国の医薬品(漢方薬をのぞく)は国際社会でいまひとつ信用ないので、先進国の製薬会社に輸出して、
先進国の大手製薬会社で完成されて、そのブランド名で売られるわけだ。でもその実、メードインチャイナなんだよ。

■もうひとつ例をあげるとペニシリン。中国はペニシリン工業塩という医薬原料の年間生産能力が2007年で7万トンある。
ちなみに世界の年間需要は5万トン前後だから、中国のそれは、世界需要を遙かにうわまわる。つまり世界中で
今使われているほとんどのペニシリンは中国製。以前は、ペニシリン工業塩をインドで二次加工していたが、最近は
すべての工程を中国で行うようにかわってきている。

■このほか、メタミゾール(鎮痛剤)、カフェイン、水溶性繊維とか、塩酸テトラサイクリン(抗生物質)といった医薬の
原料は、輸出量、輸出価格に変動はあるけれど、中国が主要輸出国のひとつとなっている。中国の医薬・保健関連
輸出は近年成長しており、2007年の貿易総額は386億ドル、うち対外輸出は245・9億ドル(前年比25%増)。
中国はすでに世界最大の医薬原料・原薬輸出国なのだそうだ。日本で使われているお薬も、原料、原薬の部分で
中国産が少なくないのでは?

■なぜ、そうなるか、というと製薬市場の生存競争は激烈で、値段が大暴落しているペニシリンや、薄利多売の
メタミゾール、テトラサイクリンなどは、中国以外でつくってちゃ採算があわない。しかし、この薄利多売競争
低コスト化が、今中国国内でも多発しているニセ薬や劣化薬、生産過程管理ミスによる不良薬による薬害問題の
背景でもある。

■昨年夏ごろから、中国国内ではけっこう大問題になった上海医薬集団華聯製薬工場の白血病治療薬薬害事件
の背景も、医薬品製造低コスト化が背景だったことが明らかになっている。69年の歴史ある国有企業の工場で、
汚染物質が混入した薬がつくられ、最小5歳の子供を含む少なくとも193人が身体マヒなどの後遺症に苦しむ結果
となったというこの強烈な事件は、中国国内では実にありがちな事件、ということで、発覚当時には、日本メディアは
あまり関心を払わなかった。

■けれど今年になって、その背景がわかってきた。世界の工場、中国における本質的な問題が、すべてそろって
いるような気がするので、南方週末(1月23日)の内幕記事を引用しながら、紹介しよう。事件を起こした薬は
メソトレキセート、シタラビンといい、白血病治療につかわれる抗がん剤で、華聯工場はこの薬を数十年作り続けてきた
実績があった。なのに、なぜ、今回、こんな事件がおきたのか。

■(引用開始)抗がん剤の利潤はミネラルウォーター一本よりも安い。生産コストを抑えるために、規約違反、
混乱が生産現場に生じている。上海医薬集団の製薬工場で長く働いている従業員はいう、「こんな事件は
いつおこっても不思議ではない。起こらない方が不思議だ」。

■ 厳甄?ちゃん(7つ)は、もはや二度と歩けないからだになってしまった。華聯のメソトレキセートの脊髄注射治療を
受けたからだ。当初、これは薬自体が本来もつ副作用と思われていた。しかし、同様の薬の治療を受けた少なくとも
193人の患者が、大小便失禁、身体マヒなどの症状をつぎつぎと訴え、その後の調査で、薬の中に不純物が混入
していることが発覚。昨年末までに、工場は生産停止となり、多数の企業側責任者が拘留され、もっか、当局は
「組織的隠蔽があったのではないか」と捜査中だ。

■この薬は一回分、わずか1・9元。抗がん剤としては古典的な薬で、効果は確実だが、副作用が大きいことでも知られ、
かつて一度生産停止となったこともあった。しかし、市場の要求におされ、生産が再開始され今や、中国における白血病
治療は必ずこの薬を使うといっていい。華聯は、中国におけるこの薬の主要生産拠点だった。

■厳ちゃんのような重篤な副作用がつぎつぎと発覚して、国家食品医薬監督管理局は昨年7月7日、同企業の薬の
使用一時禁止を通知した。その後、上海に3度おもむき、調査を開始。しかし、ちょうど、華聯側の責任者は人事異動
したばかりで、誰にきいても「原因はわからない」というばかり。また上海医薬集団は独自検査をおこない、
「品質に異常はない」と何度も発表、消費者に安心するよう呼びかけた。上海医薬監督管理局は、8月2日、被害を
起こした製造日のメソトレキセート以外の同企業の抗がん剤を医療現場で使うことを許可してしまった。
このことがさらに被害者を増やすことになる。

■一方、独自調査を行ってきた国家食品医薬監督管理局(北京)は、制がん剤シタラビンも問題ありとの調査結果を
8月当時すでに出していた。不幸なことにその8月、シタラビンを投与された患者がやはり身体マヒの症状を訴えた。
この患者の父親は、「なぜ真実をもっと早く発表してくれなかった」と怒りを隠せない。

■9月に、衛生省と国家食品医薬監督管理局はやっと、調査結果を発表。問題をおこした薬2種、メソトレキセートと
シタラビンの中に、別の急性リンパ性白血病治療薬・ビンクリスチンが混入していたことが、重篤副作用を引き起こした
原因ということだった。

■ さらに、衛生省らは12月、華聯側に製造過程で重大な規約違反があったことを隠蔽していた疑いがあり、
上海公安当局が目下調査中、と発表した。調査結果によれば、華聯側には5項目の工場規則違反行為があった。
そのうち、もっとも深刻・悪質な違反は、工場で使いの残しの材料を完全廃棄しなかった上、薬の瓶詰め担当が
貯蔵庫に放置されていた空瓶を集めて再利用していた、という点だった。

■さらに、問題なのは、中国の製薬現場では、一般に、完成品検査のときに、薬品濃度の合格不合格は検査するが、
不純物混入を対象とした検査がされていない、ということだった。つまり、薬を特定してそれを対象しなことには、
検査ができない、というわけだ。今回のメソトレキセート調査も2ヶ月たってやっと原因が判明したのは、専門家たちが
この問題で討論したとき、一人が副作用の症状がビンクリスチンのものと似ている、という指摘をして、ビンクリスチンを
対象に検査してみたところ、それが検出されたからだった。

■結局、瓶詰め担当が、空き瓶に残っていたビンクリスチンをしっかり洗浄できなかったため、メソトレキセートなどに
ビンクリスチンが混入。それが200人近い患者に身体マヒという重篤な後遺症をもたらしたわけだ。上海医薬監督管理局は、
この2種類の違法製造薬に関する華聯の収益8万元あまりを没収、116万元の罰金をかした。

■被害患者への賠償金問題には難しい問題がある。病院側は、この薬を使うとき、一部患者に対して、副作用、
合併症などのトラブル発生時を想定して、「医療鑑定、司法鑑定請求の権利放棄」および「一時的に患者と病院の
間に紛糾があっても、双方追及しない」という同意書にサインさせ、これに違反すると20万元の違約金支払いを
患者に科していたからだ。

■ メソトレキセートは市場需要の高い薬だが、じつはほとんど利潤が見込めない安い薬でもある。ワンパック5mm
グラムの販売価格は6.02元。一般の製薬企業はどこも製造したがらない。上海医薬集団は国有企業として国家命令で、
この薬を製造せざるをえなかった。生産コストを抑さえるため、工場作業員の給料も安く抑えねばならかった。
華聯の一般工場従業員の給料は1500~2000元を維持しているというが、副作用の大きな抗がん剤の生産現場には
しわ寄せがいっていた。

■上海医薬集団のある行政官はこう語る。「衛生省関係者がいうには、国有企業で、なぜ、こういう事件がおきたか。
それは、(医薬製造が)割に合わないからだ。点滴液一本分の利潤はミネラルウォーター1本も変えない程度だ。
(コスト低化のために)いくつもの薬を同じ生産ラインでつくっている。うっかり洗浄が甘ければ、つまり汚染の可能性が
あるということだ」

■おこるべくしておきた、薬害事件。しかし、こういった事件がおこりうる背景は、製薬分野にかぎらないだろう。
食品、玩具、衣料、あらゆるメードインチャイナが似たような問題をかかえ、すべての中国メーカーがそうだ、
とはいわないが、少なからぬ企業が、いつ健康被害事件などを引き起こしてもおかしくない要因を内包する。
しかも、それが消費者の信頼がよせられている国有企業ブランドだったり、当局のお墨付きだったり、HACCAP認証を
取得していたりする場合もないとはいえないわけだ。

■この引用記事から読み取れる問題点を整理すると、
(1)低コストを追及するあまり、必要なモラル・責任感が失われ、マニュアル、規則違反がおこりやすい労働環境。
(2)問題が起きたときの対応の遅さ。原因究明の調査能力の低さ。
(3)(2)の背景としての、中央、地方、企業の連携のなさ。
(4)企業(ときに地方政府も)の隠蔽体質
(5)社会主義市場経済という特殊な市場経済の事情。国家の価格統制などの介入や、市場原理による低レベル企業
淘汰機能の欠如など。
(6)消費者への保障システムの不備。

■ 中国は、対外輸出用産品の安全、国内用産品とは違って、パーフェクトな管理で細心の注意を払っている、
だから大丈夫だ、と言い続けているが、国内でこのような事件が相変わらずおきていると、説得力がない。
というより、私の個人的意見としては、ふつう国家とはまず、自国民を守ることを最優先するもんだよ、といいたい。
食品・医薬安全に関して、中国当局の説明を聞けば聞くほど、自国民の安全より対外輸出用製品の安全を優先している、
と聞こえるし、それは、すなわち経済利益のために自国民を軽んじている、というふうに思える。
つまり国家そのものが拝金主義的性格。

■へんなたとえだが、自分の家族を大事にできない男が、外でいくら有能で金を稼ぎまくっても、誠実ぶってオレを
信用してほしい、とかいっても、所詮こいつは、人を人とも思わない自己中男だな、あたしを利用したいだけだな、
と思うだろう?ふつう。

■ しかし、世界は製造コストが安い、という理由で、そういう中国の製造業に、日常生活で必要なあらゆるものを
頼っている。とりわけ人々の健康の源となる食品、医薬品の製造を、拝金主義の自己中の国の手にゆだねているわけだ。
やっぱり、冷静に考えると、これでいいのか、と思うよね、ふつう。

■ じゃあどうするか、というと、悩ましいのだが、そういう中国に頼るのをやめる、あるいは、利用されても傷つけられてもいい、
中国様に黙ってついていくわ、と思い切れないなら、やはり中国に多少変わっていただく働きかけ、というのも必要だろうと思う。
たとえば、中国が自国民を大事にする、信用にたる国に変わってもらうには?それは多少なりとも、監督システムや司法の
独立による法治、メディア機能の変革や、市場経済による健全な企業淘汰など、政治制度とかかわる改革が必要で、
あんまりいいすぎると、また内政干渉とかいわれるかもしれない。が、実は中国製医薬品や中国産食品の安全は、
そういう国の体制にも要因がある、けっこう奥の深い問題だと、最近思う。日中友好というかけ声だけや、相手を刺激しない
事なかれ主義では、解決しないのだよ、たぶん。

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投稿日時: 2008年02月23日 18:07 | | コメント (0) | トラックバック (0)